最近思うこと
東西線

JR尼崎駅と207系

きょう江坂へ行くために、わざわざ遠回りでしかも料金の高い開業したての東西線を使った。

家を出て、テクテクと JR 塚口駅まで歩いて行った。塚口は直接は東西線とは関係ないけど、東西線の一端の尼崎のとなりの駅で、保線区などがあってスペースがあるので、一部の東西線は塚口始発となっている。今まではとりあえず来た電車に乗っていればよかったんだけど、東西線乗り入れの電車ができて行き先を確かめないといけなくなった。しかし東西線の乗り入れの普通はラッシュ時と終電近くしかなく、データイムの普通は大阪行きしかない (ちなみに塚口には普通しか止まりません)。

きょうぼくは昼過ぎに出かけたので尼崎で乗り換えた。この尼崎には東西線が開業してから東海道線の快速と新快速の停車駅になった。ホームも駅舎も東西線開業前から新しくなっていたのだけど、新しくなってから降りたのはきょうが初めてだった。

以前に降りたのはたしか中学のときだったと思う。そのときはまだホームも駅舎も古くて、しかもホームとホームの連絡は地下通路だったのと、尼崎駅の乗降客が少ないのもあって、ただだだっ広くて貨車がいくつか止まってる、いかにも「国鉄ッ!」というような駅だった。それが駅舎も橋上になって貨車もいなくなり、代わりにダイヤが大幅に変わったのか、常にどこかのホームに電車が止まっている駅になった。それと駅前にあったキリンビールの工場が去年の夏に閉鎖され、すでに解体工事がはじまっている。しかしこのとなりの区画は再開発でマンションが立ち並んでいる。それでちょっと見ないうちに、駅も含めて駅周辺の風景は一変してしまった。

以前ダウンタウンがテレビの番組で尼崎に里帰りををしていたけど、本人たちはこの変りきってしまった街を見ておどろいていた。ぼくはこの周辺のむかし (20年ほど前) の街並みは知らないけど、ダウンタウンはこの周辺で生まれ育ったのだ。ただの通過駅としか知らなかったぼくでさえ違和感があったのだから、2人にとってはものすごいことだっただろう。

そうこうしているうちに東西線用につくられた 207 系電車がホームに入ってきた。この電車も開業以前から運用されて何度か乗ったことがあるけど、何だかちょっと違って見えた。そして乗車し電車は出発した。福知山線とは違い、動き始めからかなりのスピードがでている。あっという間に神崎川をわたり、いよいよ地下路線に入ってき、すぐに新駅の加島駅に着いた。真新しいホームを出るとまた次も新しい駅 (あたりまえだけど……) 。そして御幣島を出るとスピードを上げ地下深くもぐっていき、淀川をくぐり抜け海老江に着いた。海老江を出ると新福島に止まり、そして次はきょうの下車駅「北新地」。

北新地のホームは地下5階にあるので長いエスカレーターを上り、改札を出て地下歩道を抜けると、通学途中の見覚えのあるいつもの地下街にでた。その瞬間ホッとしたような何だかへんな感覚がした。それはたぶんお祭りから家に帰ってきたときのような感覚と同じようなものだと思う。非日常から日常に戻って落ち着いた反面、日常の世界に戻ってきてしまって残念に思うんだろう。

実際は徐々にでき上がっていったのだけど、地下という閉ざされた空間だと、一般人は公開されてはじめて目にすることになる。するとその人間たちの目には一瞬のうちにその空間ができあがったかのように見える。ぼくはそのことをタイムスリップしたかのように楽しんでいたんだろう。

3/11/1997