最近思うこと
APS

今年の春に発売されたAPS(アドバンスト・フォト・システム)カメラがどうやら好調らしい。ぼくはこんなに人気が出るとは予想していなかった。むしろ失敗するんじゃないかと思っていた。確かにフィルムフォーマットを変えることによるメリットはいくつかある。

  • フィルムの小型化に伴ってカメラ自体が小さくなる。
  • 画面サイズが小さくなるということは、35mmとくらべて被写界深度が深くなって、シャッター速度と絞りが稼げる。
  • フィルムをカートリッジ化することにより、フィルム装填が簡単になった。
  • あとAPSのもつ特徴として、磁気情報トラックに撮影データなどを記録することができる。

そのほかにも細かい特徴やデメリットもあるが、ここでは控えておく。

しかし出足好調なAPSだが、既に写真をやっている人からはあまりいい話は聞かない。ということはシャッター速度と絞りの関係も知らない、一般のユーザーにうけているのだろう。こういう人たちはたぶん前記の特徴の1つ目と3つ目にひかれたのだろう。

ぼくはこのような現象を否定しない。しかしこのAPSは意外なところでも注目を浴びている。それはコンピュータユーザーたちだ。

コンピュータ雑誌にも取り上げられ、日本橋のデジタル写真専門店にも置かれている。ぼくはこの現象には疑問を抱く。APSの主だった特徴は前記したとおりだ。しかし、そのどこに彼らがひかれたのかがわからない。特徴にはあげなかったが、APSの画像をコンピュータに取り込むフィルムスキャナが比較的安価ででている。だが、それだけではないはずだ。APSの画面サイズがKodakのデジタルカメラの受光素子と同サイズ(だったと思う……)という話しもあるが、たぶんこれも違うだろう。もしかして4つ目の磁気情報というのにひかれたのだろうか。しかし磁気情報といっても撮影時のシャッター速度とか、画面サイズしか記録されておらず、決して画像そのものが記録されているはけではない。この磁気情報はほとんどプリント時に活かされて、ユーザーに直接的にはあまり係わってこない。結局は従来の35mmの改良版なのだ。

とすると、コンピュータユーザーたちも意外とフィルムを入れるのが苦手だったのかな?

9/17/1996