最近思うこと
マルチメディア

マルチメディアブームである。この言葉は新聞やテレビで目や耳にしない日はないほど一般化してきている。専門学校などでも「マルチメディア科」なるのもができている。しかしこの「マルチメディア」とは一体何なんだろうか?その言葉どおり、いろんなメディアが混合したものなのだろうか?

雑誌や新聞で見る限りでは、CD-ROMやインターネットといったもののほかに、双方向性テレビみたいなものも含まれるようだ。コンピュータ関係に限っていうと、テキスト、グラフィック(とくに動画)、音楽といったものを同時に扱えることが、マルチメディアの定義であるように受け取れる。映画「トイ・ストーリー」をマルチメディアだという人もいるかもしれない。確かにこれらを「マルチメディアではない」と言い切ることはできない。だが「マルチメディアとはこうだ!」といって、前記のような物を指すのはやめていただきたい。もし断固として「マルチメディアとはこうだ!」と言い切る人がいるならば、マルチメディアタイトルというものに「ポートピア連続殺人事件」などのようなものも加えてやってください。ぼくからのお願いです。

しかし、何もマルチメディアとは前記のようなものだけに限ったものではない。例えば言葉の場合は、音としての言葉とビジュアルとしての言葉があるが、この両者もマルチメディアではないとは言えない。「好き」とか「嫌い」といった、言葉自身がもつ意味(テキスト)。それから「音として」の場合は声としてその言葉に表現を加えることができるし(音楽)、「ビジュアルとして」の場合は書体などで表現を加えることができる(グラフィック)。このように人間の一番身近な表現方法の言葉でさえ、あえて言うならばマルチメディアなのです。

だから猫も杓子も「マルチメディア、マルチメディア」というのはよしましょう。

ある友人がNTTのTV-CFの「人間がマルチメディアなんだ」という言葉が、ミョーに気に入っていた。

8/17/1996